竹内市長はただちに街頭演説を止めよ

 

 竹内鳥取市長が、住民投票条例が可決成立した翌日から連日街頭で演説している。住民投票への参加を呼び掛けること自体は否定しないが、問題はその発言の中身である。

 新築移転案については、「広い敷地でしっかりとした防災体制を確立させようと、市が検討してきた。中心市街地活性化も期待している」(朝日新聞4 月5日付)、「市立病院跡地は交通の便もよく敷地も広い。様々な新しい機能を備えた庁舎をつくる」(読売新聞4 月7 日付)と述べ、その一方で、耐震改修案については「昭和39 年(1964)年に建設され、47 年を経た本庁舎を耐震補強、一部増築する」と説明している。

 新築移転案の説明には、「朝日新聞」の記事でも、「広い敷地」「しっかりとした防災体制を確立」「中心市街地活性化」と、プラスのイメージを持った言葉をさりげなく入れており、「期待している」という言葉を付けることにより、市長はそれがよいことであり、自らもそれを望んでいるとの主張を示している。「読売新聞」の記事では、それがいっそう明らかで、市が進める案が望ましいものだという意見表明以外の何物でもない。

 他方、耐震改修案については、短く触れるばかりで、「47年を経た本庁舎…」と、「古い」というマイナスのイメージを与える言葉を付けている。

 市長は4 月6 日の記者会見で記者から質問を受けて、「事実を事実として述べている…公平公正に欠けるというふうなことはない」と述べ、また「何がメリットであるのかとか、あまり価値判断を含んだ説明をしていません」と述べている。しかし、それは詭弁である。

 「交通の便もよく」「敷地も広い」「様々な新しい機能を備えた庁舎」などの表現は、それがよいものだという判断を示している。

 例えば、「市立病院跡地は交通の便がよい」と言うのは、今、市庁舎の位置が争点となっているという文脈からみると、「現在地は必ずしも交通の便がよくない」という意味を含んでいる。が、交通について言えば、「市立病院跡地付近は今でも交通量が多く、そこに市庁舎が移れば渋滞が心配だ」という別の考え方もありうるのである。

 住民投票条例には、「住民投票条例は、市長が執行するものとする」(第3 条)とあり、「市長は、…投票資格者が意思を明確にするために必要な情報を、公平かつ公正に提供するよう努めるものとする」(第11 条)とある。

 市長が現在続けている街頭演説は、一見、二つの選択肢を客観的に紹介するかのように装いながら、市の進める一方の案に市民を誘導しようとする条例違反の行動であり、決して「公平かつ公正」な情報提供と言えるものではない。

 私たち「市民の会」は、市長の一連の行動に強く抗議するとともに、市長がこのような行動を即刻やめることを強く求めるものである。

※なお、市長が、条例可決の翌日3 月23 日の「市長メッセージ」で、「『旧市立病院跡地への新築移転』の計画については、…鳥取市民のための最善の選択であると確信しています」と“堂々と”述べているのが条例違反であることは言うまでもない。

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