市庁舎整備の現状に対する声明

 昨年5月20日の住民投票では、投票率が50%を超え、投票者の60%が市の進めてきた「新築移転案」を否定し、「このような時期に多額の税金を注いで新築をすべきでなく、今あるものを大切に、必用最小限の住民負担で済む耐震改修で行うべきである」という良識ある判断を下した。
 これは、現段階で、最も正確に市民の声を反映した直接民主主義の手法による結果であり、無条件でこれに従うことが、市民から選ばれた市政の最高責任者としては当然の義務である。 
 ところが、住民投票終了の翌日、市長は「住民投票の結果を尊重し、耐震改修を進める」旨のコメントを発表しておきながら、その直後、「耐震改修および一部増築案」の検証を議会に対して要望した。これは、議会が全員一致で決議した条例案に基づき、住民投票という最も民主的な方法で示された市民の選択を調べなおせという極めて不見識なもので、議論を逆行させるものにほかならない。市長が、住民投票の結果に基づき直ちに具体化すれば済むことを、検証させたことが、その後の議会の混迷の最大の原因である。
 ところがこともあろうに、当時の中西議長はこの提案をうのみにし、調査特別委員会を設置し、検証作業に入ることを指示した。これに対し、市民から「議会は何をしているのか!市民が選んだ内容で、市長が実行するだけで簡単な話なのに!」という声が上がったのは当然の帰結である。
 この混迷にさらに輪をかけたのは、議会の調査特別委員会において、市長を支持してきた三会派(新、清和会、公明)が、住民投票の結果を正しく受け止めようとせず、金額20億8千万円のみに議論を矮小化し、自らも正確な判断ができない建築の専門的な内容にまで踏み込んだことにある。
 その後、議会は、「旧市立病院跡地への新築移転案」を鳥取市と一体となって推進してきた日本設計に随意契約で検証に出すことを、多数決で押し切って決定した。その検証の結果は、予想通り、2号案は「原案のままでは実現は困難」とし、不当に高い33億2千万円の工事費、さらに検証に出してもいない残土処理費、文化財調査費などの「その他経費」の試算10億2千万円を鳥取市に出させ、本来、加算するべきでないもの(新築移転案でも、「その他経費」は計上していない)を加えて、2号案の2倍以上となる総額43億2千万という報告書が提示されることとなった。
 そればかりか、「全面建替えの可能性」として、検証の仕様書に記載のない内容で、しかも、正確な試算も根拠も示すことなく、43億4千万あれば新築も可能ということにまで言及がなされた。
 耐震改修案の「検証」状況を受け、竹内市長は、「耐震改修案が実現不可能だと…明らかとなり」と断定し、「民意をとらえなおす必要が出てきている」と住民投票結果そのものを否定する発言を行っている。さらに、1月4日の年頭記者会見では、より踏み込んで、「今年前半に整備方針を出せるよう、最大限努力したい」、「専門家らの意見を聞くなどし、早々に積極的な取り組みを始めたい」と述べ、その方向に沿って、1月16日には、庁舎整備専門家委員会の設置条例が臨時市議会に提案され、賛成多数で可決された。
 が、この委員会は、住民投票の結果に基づいて現在地での耐震改修案を検討するものではなく、「新築・改築にこだわらずフリーハンドで議論する」ものとされている。
 市執行部として何ら整備の方向性を示すこともないままに「専門家」に検討をゆだね、その「調査、審議結果は十分に受け止めていく」(竹内市長答弁)という姿勢は、極めて無責任であると断ぜざるを得ない。
 こうした進め方は、新築移転を推進してきた際に、有識者会議という名の“隠れ蓑”審議会、作為的アンケート、公費を使っての一方的宣伝、地域審議会、地域懇談会などを通じて世論操作を行ってきたのと同様の手法で、新築の方向へ世論を誘導していこうという意図を持つものと受け止めざるを得ない。
 こうした情勢の下で、私たち「市民の会」は、以下のように私たちの立場を明らかにし、断固として市民とともに、市民の意思を尊重し、市民の側に立った市政が行われるよう、あくまでも要求し続けることを表明するものである。

1.私たちは、市議会議員が全会一致で決定した住民投票の中身を検証すること自体、不当であり、
  しかも、それを鳥取市当局と一体になって「旧市立病院跡地への新築移転案」を推進してきた「日
  本設計」という企業に、検証を随意契約で行わせたことが誤りであり、そして、その結果として、
  提示された報告書は基本的に信憑性に欠けるものであると考える。
  私たちは、市長及び市長を支持する3会派が、こうした報告書をテコに使い、市民の意思を誤
  った方向に誘導するような言動を行うことのないよう強く要求するものである。

2.今回の住民投票で市民が選択したのは、「現在地での耐震改修を基本とした方向」である。市民
  の真の意思は、「多額の費用をかけないこと」「20億8千万に象徴されるように、鳥取県庁が行っ
  た如く、可能な限り、安価で安全な改修を行うこと」「生活に密着した緊急の課題の解決に税金を
  充当すること」「中心市街地だけでなく、合併によって不利益が生じている新市域にも適切な施策
  を行うこと」などであったことは明白である。私たちは、市長がこの市民の意思を率直に受け止
  め、可能な限り市民の声を反映させながら「耐震改修及び一部増築」を基本とした市庁舎整備の
  具体化を進めることを改めて強く要求する。

3.新たに市が設置した専門家委員会は、あくまで住民投票に示された民意を踏まえて検討を進め
  るべきである。特に、住民投票で選ばれた耐震改修案の具体的な内容についてはいまだ市民の意
  見が汲み上げられていないことを重視し、短期間で拙速に議論をまとめるのではなく、耐震改修
  を求めた市民の声を丁寧に聞き取りながら進めるべきである。

4.今回の住民投票で、市・市議会と民意が大きくかい離していたという事実が明らかとなった。
  仮に、市が、今回の検証結果によって「2号案が実現できない」と一方的に決めつけ、耐震改修
  を否定するような方向性を打ち出すようなことがあれば、市民の納得は得られるものではない。
  私たち「市民の会」は、何より住民投票に示された市民の思いを大切にし、耐震改修案の実現
  を目指して取り組みを続けていく決意である。 

  2013年1月              

                                   市庁舎新築移転を問う市民の会

「市庁舎整備の現状に対する声明」への1件のフィードバック

  1. 市民の多数が賛成した現市庁舎耐震改修案を市・市議会は尊重して、いかに安く改修するかを考えるべきである難癖をつけて耐震改修が実現不可能との判断は許せない。何のために住民投票したのかわからない。国からもらえる補助金はもらったらよいとの役人根性だけで市長、市議会は進んでいる。こんな市長や市議会議員はいらない。リコールに値する内容である。市民はもっと怒るべきである。

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